お客様の声

EPISODE.3

変則的な形の図面での依頼

土木事業部として、田んぼの圃場整備(ほじょうせいび)工事を承った時のことです。まず圃場整備工事とは、簡単にいうと田んぼの水路や農道等の区画を整備する公共工事のことです。

決められた図面通りに田んぼの工事を行うものなのですが、その案件は少し変わっていた点が1点ありました。それは、図面の田んぼの形が変則的な形であった、という点です。

形が台形であり、ある1つの角度がかなりの鋭角でした。

その図面で依頼されているので、そのまま工事することに何も問題はありません。ただ、私たちが大切にしていることは「人々の豊かさをつくる」こと。それを実現するためには、もちろん大前提に「図面通りにつくること」はありますが、それだけではなく「図面では表せない細かい部分を提案すること」が大切だと考えています。

本当にこの図面のまま工事を行うことが良いことなのか、想像してみました。

相手の豊かさを想像する

「実際にこの田んぼを使う農家さんは、この田んぼをどう思うのだろう」

稲作をする農家さんのことを想像すると、気付いたことがありました。「この鋭角の部分には農機が入りづらく、無駄なスペースになるどころか、逆にこのスペースがない方が農機も操作しやすいのではないか」

協力業者様やベテランの先輩に相談したところ「よく気付いたね、その通りだ」と言われました。

そこで次の3点を発注者の方に提案し、確認することにしました。

①鋭角の右辺を基準に直角になるような形にする

②鋭角の左辺を基準に直角になるような形にする

③鋭角のままの形にする

 

図面通り“以上”が価値になる

発注者の方に提案したところ、図面通りではなく①の形で工事することが決まりました。自分の提案により、工事の内容をより良くすることができたのです。

工事が終わった後、実際に稲作をする農家さんにお会いした時に「提案してくれた話を聞いたよ、本当にありがとう、鋭角のままだと使いづらかったよ」と言われ、何にも代えがたい喜びを感じました。

図面通り、納期通りに工事を行うことはもちろん大前提の大切なことです。ただ、実際に工事を進める人にしか気付けない細かい内容があるのも事実です。図面を単に鵜呑みにするだけではなく、実際に使う人を想像して提案することが、KUBIKIが大切にしている「豊かさをつくる」ことにつながると考えています。